営業車を失ったあと、私の移動車はタクシーがメインになった。
地方出張でもタクシーは貴重な足だったのだが、とある流通関係の会社に転職した時、関東近県への視察が増えた。
最初は電車とタクシーの組み合わせだったが、会社負担とはいえ立替えがかなりの額になり私の家計を圧迫し始めた。
また、土日に複数の拠点を回るのには非効率になっていた。
当初、平日に約束がある場合は以前と同じく公共交通で移動することにして、土日の移動はレンタカーがメインとすることにした。
これが、地方出張が嵩んできて、地方でもレンタカーを利用することになる。
最初の時期、レンタカー会社はニッポンレンタカーをよく利用していた。
あっという間にプレミアムステータスにアップグレードしたのだが、良いクルマに当たることが少なかった。
当時は、麻生内閣の「1,000円高速」が行われている時期で、猫も杓子もレンタカーで週末は移動することが増え、クルマの扱い方を知らない人も多くがレンタカーを利用していたようだ。
営業所の数では当時も今もニッポンレンタカーは一定のアドバンテージを持っているのだが、凹んだりホイルキャップが外れていたりし、それが元か、店頭でお客さんと店員さんが揉めていたりと、時間的にも気分的にも良くない状況となっていた。
私は徐々にトヨタレンタカーにメインを変更し始めた。
これも当時の話だが、トヨタレンタカーは割引が少なく、ニッポンレンタカーのように価格優先でクルマを借りる人が少なかった、と思う。(あくまで私の主観だが)
トヨタレンタカーでよく借りたのは、ベルタとIQだ。
IQは一人の時に、ベルタは二人以上の時に借りた。
IQは小回りが効く割に長距離でも疲れにくく、また狭い道もスイスイと進めた。
ベルタはグレードの割に車内が広く、まあまあ長距離でもそれなりには走れた。
トヨタレンタカーでも早々にグレードがアップし、地方空港の営業所で借り出す時はカローラにアップグレードされることが多かったが、私はカローラよりもベルタの方が気に入っていた。
ベルタとほぼ同型のトヨタヴィオスをタクシーとしてジャカルタでみた時はなんだか嬉しい感じがした。
プライベートの旅行でもベルタをよく利用した。
仕事の時は毎時00分ヘッドで予定を組んで移動するのだが、悠久の時が流れているたぬさんとのドライブだとそのようなダイヤ通りの移動とはいかない。
帰り道の頃には、予定はズタズタに遅れ、さらに渋滞に巻き込まれてしまい、レンタカー返却時間との勝負になり、ギスギスした雰囲気になることが多かった。
当時は比較的都心の賃貸マンションに住んでいたので、1ヶ月数万円もする月極駐車場を借りてまでマイカーを購入する気にはなれなかった。
ギスギスは当面覚悟と考えていた時にたぬさんが、
「家を買うたぬ〜」と言い出した。
基本的にマンション派である私は、家=マンションと考えていたので、この時にはマイカー購入まで想像することはなかった。