イングランドルールが止まってからもう何年だろう、あの旅は旅行前の勤務先を退職したときに出かけたいわば傷心旅行だった。
全く狙っていなかったが、ラグビーワールドカップ開催中で、羽田発ロンドンヒースロー行きの英国航空は、ウェールズとイングランドのファンが乗り合わせており、朝9時台発の便だったが、ウラジオストクあたりを通過した頃には完全にパブよろしく機内は酒盛りで各々
の健闘をたたえ合う場になっていた、と英語がさほどわからないなりにそう感じた。
ロンドンに着いてから、チューブ(地下鉄)で宿まで向かい、連れがアテにしていたアップグレードもなく屋根裏のような部屋で眠りについた。
そんなことが2019年の11月に行われた。
このときはまだ連合王国はEUのメンバーでこのまま本当にEU離脱するのかも半信半疑だった。ただ、この旅の趣旨はEU離脱した連合王国でオフ会をしよう、というものだった。
当時の政治情勢や私の業務環境のため二転三転し、参加者は私ともう2名というさみしいものになった。
ジョンソン首相は強力に脱EUを推し進めており、確定的ではあったがそれによりこの国がどうなるかなどは想像外だった。
明くる2020年は謎の感染症ニュースで幕開けたわけではなく、なんとなくオリンピックやそれにまつわるゴタゴタでスタートした。
転職先は試用期間が6ヶ月で平時であればまあまあクリアできるノルマが課せられていた。
私個人としては、5月中旬に終了する試用期間終了の土壇場まで引っ張ってなんらか手を打てばいいか、と構えていた。
が、そのような甘い考えは世界的なロックダウンで打ち砕かれた。
2月頃はまだ全然余裕だったが「緊急事態宣言」により、外出や商談すらままならなくなっていった。
そうこうするうちに私の試用期間は、営業成績はまったく0(ゼロ)、ダメダメの坊主で終了することになった。
契約解除による「失業」が現実的なものとなりかけていた。
その後、会社からの本契約のオファーが出たのだが内容を吟味することもなくサインしてしまった。
その後、この契約内容に3年間振り回されることになる。
なんとか失業は食い止めたものの、自粛の要請なるものにより家の中で大半を過ごすことになりしばらくは開店休業状態となる。
つづく、そのうち。