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リコーGR3までのカメラのはなしのつづきその7

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学生時代のアルバイトで扱いが得意になったスタジオ用カメラがトヨビュー45だ。

これは、いわゆる4×5フィルム(シノゴ)を使うカメラで、アナログ写真の時代には建築や商品、集合写真などを撮影するのに使った。

もちろん、作品制作にも使えるカメラだ。

スタジオでブツ撮りをしているカメラマンのなかには、ジナーやホースマンというメーカー品を使っている人がいた。

だが、私は断然、トヨビュー45が好きだった。

理由は、他のメーカー品よりも現場で出会う台数が多く、扱い慣れていた、ということもあるが、それよりもその数の点で、壊しても替えがきくという気軽さはあちこちいじってみる好奇心を満たすのにはありがたかった。

ちなみにジナーというのはスイス製の機材で額は忘れたが気軽にこっそり触りたくなるような値段ではなかったと思う。

ホースマンは国産メーカーだったが、春休みのバイト先以外で出会ったことがなかった。

この4×5カメラだが、カメラと言っても蛇腹だけで、レンズもフィルムもついていない。

前面にレンズをつけ、後部にフィルムを装填したホルダーを入れる。

古い時代の映画とかで風呂敷みたいなのをかぶっておじさんが記念写真とかを写しているアレだ。

レンズもフィルムフォルダーもレリーズ(シャッターを押すやつ)も別売りなのだ。

バイト以外でトヨビュー45を思い出すのは学生時代の実習だ。

大学2年の必須過程の授業で建築写真があった。

ちなみに、スタジオ撮影(ブツもモデルも)は必須ではなかった。

普通のカメラでビルなど建物を下から撮ると上に行くほどとんがってしまう。

これをとんがらせずにまっすぐ写すのに必要なのがこの4×5カメラなのだ。

このカメラはレンズ面とフィルム面を左右上下に振ったり、移動させたりすることができる。

学校の貸し出し機材もトヨビューだった。

私は2年に上がる前の春休みに散々トヨビューをいじり倒していたし、建物の撮影を何度も見ていた。

サクサクっとカメラをセットし、画像を建物に合わせてしまう。

(ちなみに幕を被って見える像は暗く、左右上下が反対だ。)

これは楽勝だった。

周りの同級生で苦戦している人がいると、学内喫茶のブランディー入り紅茶(1杯)でカメラセットの代行を引き受けた。

この後、10年ほどして、ゼミ飲み会の席でこの酒紅茶をご馳走してくれた彼が話しかけてきた。

「この間の現場で4×5が出てきた時は困ったよ、青椒君いないし・・・」

で、どうした?と聞くと彼は、

「アシスタントに、お前セットしろと言ってセットさせて、ちょっと覗いて、あとはシャッターだけ切ったよ」

とのことだった。

その数年後、彼と都心の地下鉄駅でばったり再会したが、彼は締め切りを過ぎているということで足早にどこかへ去っていった。

さらにその後しばらくして、彼は実家がある某県へ帰ったと人伝に聞いた。

最近は婚礼の集合写真どころか街のどんなところでも4×5のカメラは見なくなった。

私がもう一度、トヨビュー45を触る日は来るだろうか、ブランディー入り紅茶をご馳走してくれた彼は元気なのだろうか。

ふと、考えたりする。

(めぼしいレビューが個人ブログしかなかった)

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