#主に購読用のブログ

#主に購読用の買い物と旅行、主に購読用的な生活について書きます。

リコーGR3までのカメラのはなしのつづきその6

f:id:Greenpepper:20210104223324j:plain

私は学生時代、なぜか自分には写真の才能がないと決めつけ、商業写真家を目指そうとしていた時期があった。

学校がある時期は土日に結婚式場、春休みは商品カタログのスタジオへアルバイトに行っていた。

門前の小僧なんとやらで、機材の名称や扱い方はどんどん覚えたし、なにせ当時は写真を撮ることは好きだったので撮影方法を習得するのも早かった。

そんななかで苦手な分野もわかってきた。

モデルと商品(ブツ)を撮るのはどうにもダメだった。

被写体というよりは、フラッシュ(ストロボ)の扱いがどうにもならない。

なぜストロボが苦手だったかというと、目をつぶってしまうのだ。

といっても、記念写真で目をつぶっていて何度も撮り直す、なんてことはない。

少し話は飛ぶが、肉眼はよくできていて、蛍光灯と白熱灯が視界に同居していても、緑っぽくなったり赤っぽくなったりはしない、しかし、フィルムは両方を点灯させたままだと、肉眼で見た感じとは全く異なってしまう。

当時、デジカメは出始めだったが、商業で使える今のようなクオリティの物はなかった。

光線を肉眼で確認し、影をつけたり、フィルムの特性に合わせた色変換フィルター(ゼラチンフィルター)をつけたりしなければならなかった。

この場合は、蛍光灯に合わせた補正フィルターを装着した上で、蛍光灯だけを点灯しシャッターを切る、その後、蛍光灯を消して白熱灯をつけた上で補正フィルターを交換し、再度シャッターを切る。いわゆる多重露光なのだけども、これでは光量が足りなかったり、影が出てしまったりするので、ストロボの出番となる。

ストロボには補助灯がついているが、そんなものでは影の引き方なんてわからない。

前述のようにデジカメがないので仕上がりはポラロイドを「引く」のだけれど、今の「チェキ」よりも写りの悪い代物で、撮影後5分ほど待ってビリビリと剥がすとぼやけた像が見えるだけではっきりしない。

じゃあ、どうするか、ストロボを光らせて、影の引き方を見るのだ。

ストロボを何度か光らせて影の具合を見ることになる。

ストロボ、といっても普通のカメラについているようなものではなく、ジェネレータと呼ばれる機器にケーブルをつなげてストロボを光らせるのだ。

一つのジェネレータで1500wくらいだったと思う。

建材のセットでベランダや庭のような大掛かりなものだとこれを10灯以上光らせる。

まさに、ストロボを焚くのだ。

光った時に目をこらして被写体を見なければいけないのだが、私はどうしても目をつぶってしまう。

目を開いて光の具合が取れないので、ライティングなんてままならない。

婚礼のスタジオもストロボありきだ。

画像加工なんて気の利いたものはないので、花嫁さんの肌はとにかく真っ白に飛ばしてしまうのだ。

ストロボだけが原因ではないけど、商業写真の世界は大学2年が終わる頃には早々に諦めることにした。

今でもあの時、なんとかストロボに打ち勝って、あのまま道を突き進んでいたらどうなっていたのだろうと考えることがある。