T氏の誘いで北陸路に出かけたのは先日記載した通り。
同行でH氏が羽田から一緒だった。
同行というか、実際ところはH氏に私が便乗しただけの話なのだけれども。
当初の予定では、都内の事務所を早々に退けて、羽田には搭乗の2時間以上前に到着し、ラウンジで炭酸水でも楽しもうと考えていた。
しかし、金曜日特有というか月末の喧騒というかトラブルに巻き込まれてしまい、羽田到着はギリギリになってしまった。
ギリギリなのに電話に追い立てられ、搭乗ゲート前で仕事をすることとなってしまった。
その後、機内では
「国際線専用機材のためwifiは利用できません」
のアナウンスで万事休す、かと思われたが、上空で試しに接続してみたらネットに繋がったので、機内でも電話の続きのメールの対応ができた。
小松到着後に乗ったバスの中でもH氏の隣でメール返信やWeb会議をこなした。
そんなのホテルについてからやればいいじゃないか、となりそうなのだが、我々にはある重大なミッションがあり、私はどうしても金沢駅到着までになんとか今日の仕事に一定のケリをつけたかったのだ。
北陸松任の停留所を出ても仕事は終わらず、またWeb会議はできず、諸々の対応に区切りがついたのは合同庁舎前停留所の手前だった。
当日のバスは混雑していて、二人がけを一人で利用するには憚られる雰囲気だった。
私はH氏のご好意に甘えて、というかささっと彼の隣に陣取って、先述のバス車内の仕事をこなした。
私がH氏の肘にぶつかりながらも仕事を片付けておきたかった事情は、21世紀美術館への訪問であった。
金沢に行くといつも混んいでていて入れず、「ふん!」と言いながら建物の前を通り過ぎていたあの美術館だ。
それも、専門家のH氏とアートファンのT氏同行で、だ。
そんな楽しみに胸を膨らませていると、合同庁舎前を発車した空港バスは金沢駅西口に到着した。
私は興奮する気持ちを抑えることも忘れ、接続のバス・タクシーが待つ駅の反対側へ向けて歩き始めた。(つづく、かも)