友人のT氏の誘いで北陸に出かけることにした。
金沢に入って、その後黒部を回り、富山へ出るスケジュールだ。
初日の金沢は金曜日の夜に入った。
羽田から小松経由だ。
搭乗のJAL便はボーイング737型機の予定だったが機材変更で国際線仕様の767型機となった。
私は赤いシートの機材をイメージしていたが、古色蒼然とした機材とシートだった。
このシートに着席した時、10年以上前の小松行き便で起きたことを思い出した。
それは、小松着陸前に搭乗機が雷の直撃を受けたことだ。
その日も羽田発のJAL便で767型機だった。
今回乗ったのよりも1本遅い時間だったと思う。
当時の機内画面はブラウン管で、雨雲を突き抜けながら小松へと降りる様子が見えた。
機外カメラはひたすら雲を映し続けていたが、そのうち外がピカピカとしてきた。
日本海から流れ込んだ冬の低気圧が雷を発生させていた。
冬の小松着陸特有のグラグラ揺れでもうすぐ着陸だと感じていた。
雷はどんどん光っていたが、飛行機に雷が落ちても受け流すものだと、思い込んでいた。
その時、機内が明るくなりブラウン管が真っ白になったと思った次の瞬間、「パコッ」と音がした。
搭乗機に雷が落ちたのは今のところ、これが最初で最後だ。
当時の767型機はレカロよりも前の世代で本当にボロかった。
着陸に支障があるとは思わなかったが、ちょっとだけ怖い思いをした。
その後、空港から金沢駅までのリムジンバスに乗り込んだ。
これも冬名物の日本海からの吹きさらしを受けながらグラグラ走るやつだ。
そんなことを思い出している間に飛行機は小松上空に差し掛かった。
相変わらずすっきりと晴れない冬の空だったが、雷は光らず、さほど揺れずに着陸できた。
戦闘機は終業したのか、小松周辺は静かだった。
久しぶりの北陸路を楽しむ心の準備ができた気がした。