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イングランド・ルール(その3たぬさんはアップアップ)

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私たちはブリティッシュエアウェイズのカウンター前に6時30分には到着した。

9時45分発のBA8便の搭乗手続き開始は7時だ。

明らかに早すぎる。

意味もなく、早すぎる。

なぜこんなにも早く羽田へ来たのか。

私一人なら絶対にこんなには早く空港へ行かない。

今回のように朝便でANAJALの便なら、気まぐれに早く到着してもほぼ24時間チェックインできるので、ラウンジがオープンする時間に合わせて早めに出かけることもあるが、アウェーな航空会社の場合、チェックインは出発の2時間30分前くらいの場合が多い。

要は早く来ても荷物の預け入れがある場合はセキュリティーゲートを通ることはできない。

早く空港についても、カウンターが開くまで待ち続けないといけない。

それもこれも、同行者が「アップ」をしたいと言い続けたために、当日アップグレードを「確実に」申し込むため、わざわざタクシーまで使って一番乗りを果たしたわけだ。

私の同行者はたぬさんだ。

 

もう何年も連れ添っているが未だに生態ははっきりしない。

彼女は仕事での出張でいつも帰りの便がディレイする星の下に生まれたたぬきで、アムステルダムA320が故障したり、パリでB777が修理で遅れたり、シカゴでB777の給油に手間取る、チャンギ帰りに台風直撃で空港が閉鎖されたり、彼女と同じ帰り便に搭乗する人にはいつも同情を禁じ得ない。

個人旅行だと帰りよりも行きの便でのトラブルが多い。

以前、我々ともう1組のアベックで北海道に行ったことがあったが、2便前の私たちの方が機材のトラブルでもう1組よりも後についたことがある。

羽田で見送られたのに新千歳で出迎えられるという珍事が起きたのだ。

それ以外には、新婚旅行(たぬきだが結婚できた)で到着したクライストチャーチ空港でパスポートが入った鞄を機内に忘れたなどが記憶に残る。

私は逆にほとんどトラブル知らずで、いままで一番大きなトラブルといえば、座席に救命胴衣が備え付けられていなかったくらいだ。

そしてこのたぬさんは、「アップグレード」に異常な執着を持っている。

アッパークラスのチケットを購入するのではなく、「アップグレード」である。

国内線であれば早めに空港へ行き、マイルやポイントを捻出してカウンターで申請、座席が空いていれば念願が成就する。

まあ、アップグレードできなくてもせいぜい1時間程度のフライトなので、多少ぐずってもドリンクをもらえば大人しくなる。

だが、国際線の場合はそうは行かない。

なんせ4時間以上は乗ることになるので、ドリンクを与えるだけでは誤魔化せない。

逆に、アッパークラスに載せておけば、行きも帰りも良いたぬきでいてくれる。

 

私たちが乗る羽田〜ロンドンでアッパークラスのチケットを購入すると家計への影響は甚大になる。

そうなると、当日アップグレードがとりうる現実的な解決方法となる。

だが、夢のアップグレードを実現する手段は限られている。

運任せの(夢の)インボラアップグレードか金ずくの有償アップグレードのほぼ2択に限られる。

クレジットカードの年会費で上級ステータスを辛うじて維持している私にただ(インボラ)でアップグレードを提供してくれる航空会社は世界のどこにもない。

そうすると有償アップグレード1択になる。

私は往路のみ、プレミアムエコノミーの当日アップグレードをたぬさんに提案していた。

私たちは「念のため」プレミアムエコノミーが売り切れないうちにチェックインしようとチェックインカウンターがオープンする30分以上前に空港へ来たのだった。

あと10分でカウンターオープンという頃に、ハンドリングを担当するスタッフたちが、JAL系の制服を来てちらほらと集まり出した。

たぬさんは私の隣で

「アップ、あっぷ、あっぷっぷ〜」と口ずさみ始めた。

携帯電話の時計は午前7時を指したがカウンターはオープンしない。

7時3分を過ぎた頃、

「おはようございます、ただいまより搭乗手続きを開始します。」

という声が先か後かのタイミングで、私たちに歩み寄ってきた別のJAL系制服スタッフに

「おはようございます、こちらへどうぞ。」と前へ進むよう促された。

さて、チェックイン・・・とアップの開始だ。