コロッケの歌というのがある。
「コロコロコーロッケ!コロコロコロッケ、コロッケ!・・・」
で始まる、スーパーマーケットの惣菜売り場へ行くとかかっている曲だ。
やたらテンションが高い男声と女声、やる気のない女の子が合唱している。
このコロッケの歌を聴くとなぜかコロッケだけは買うまい、と心に決めてしまう。
私はコロッケが好きだ。
しかし、このコロッケの歌は嫌いだ。
なんとなく食欲をそぐ感じがする。
これと同じ感覚を覚えるのが、お魚の歌だ。
「さかなさかな~さかなを食べよお~さかなをたべ~るとー」
というやつだ。
コロッケの歌も、お魚の歌も、正式名称は知らない。
ただ、これがかかっていると買う気が失せる。
同じ系列に焼き芋売り場で
「たかたかたー、たかたかたー、たかたかたーたーたーたーたー」
というメロディーだけかかっているものがあるが、
あれは、曲以前に焼き芋自体買おうと思わない。
これ、いずれも共通した目的があり流されている。
その目的とは
「賑やかし」だ。
スーパーマーケットって、基本的には殺風景で賑わいがなく雰囲気のない場所であることが多い。
これは、どんな繁盛店でもそうだ。
セルフ方式(お客が商品を選んでレジに持って行く)という販売方式を取っているので、
市場のように、店の大将が店先でワイワイ言っていることはないし、商品の鮮度を維持するために水や氷をぶち撒けていることも、店頭でなにか燃やしていたりもしない。
スーパーマーケットとは、その対極の清潔さを売りにしている部分がある。
だから、店先は殺風景で静かだ。
誰でも、ひっそりした店には入りたくない。
そこで出番となるのが、賑やかし用の音だ。
音を出して商品を想起させ、その商品を買わせられれば御の字だが、
それができなくても、順調に店内を回遊してもらえれば店としてはそれでOKなのだ。
その辺のカラクリを知っているので、あれらの音を聴くと
裏側にいる為政者の考えにまんまと乗せられた気がして買う気が無くなる。
今日も、
私はコロッケの歌を聴きながら、コロッケを買わない。