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マイルは貯金なのか、借金なのか。

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 普段の生活で受け取れるお得というのは、ガソリンスタンドの箱ティッシュ、飲み屋のハッピーアワー、ポイントカードのポイントなどだろう。

ハッピーアワーは半額、箱ティッシュは15リッター以上、ポイントカードは100円につき1ポイントくらいのお得だ。

日常で出会うお得というのは実にささやかなものが多い。

そんななかで暴力的とも言えるお得が台頭している。

〇〇PAYの類いがそうだ。

購入金額の20%をポイントバック、抽選で無料などなどだ。

そのポイント目当てに色々な人が動く。

なるべく値崩れをしない品物、具体的にはアップル社製品などを家電量販店で購入し、品物はさっさと個人売買に出してしまい、ポイントだけをゲットするという人も出てきた。

恐らく利用規約には転売目的のサービス利用は禁止していると思うので、これはあまりオススメではない、ポイントライフなのだろう。

この20%ゲッターには後日談があり、ポイントがつくまでの日数がかかること、一部の買い物ではポイントがつかないことが後からわかり悲喜交々が起きた。

まだ2年弱前の話だが、はるか昔のような気もする。

 

このような高還元率のポイントプログラムが登場するまで、航空会社のマイレージプログラムはポイント業界の花形だった。

羽田〜伊丹でどうした、新千歳〜小松はどうなった、と航空会社のWebサイトを見ると、翌日か翌々日には数百からステータスによっては千いくらのマイレージが加算されている。

しかしこのマイレージ、利用しようとすると、通常の勤め人には厄介な代物だった。

国内航空路線で利用できるマイルを貯めても、オンシーズンには使いにくい。

使えないことはないのだが、他の熱心な旅行者のおかげで不熱心なユーザーが利用しにくくなっていた。

また、航空券購入ようにコインなどに変換する際には、一定マイル以上が必要。

仕方がないからネットショップで使おうとすると1,000マイルから、ということに。

実際、行きつけの料理店で女将がマイレージプログラムについて

「以前来た、潰れた航空会社の人が、(マイレージは)わざと使いにくくしている、って言っていたわ。そんなのだから潰れるのかしら。」

という話をしてくれたことがある。

その航空会社がどこの航空会社だったかは、女将が鬼籍に入った今となってはわからない。

そんな使いにくい諸々の事情が、ある意味で生半可な素人を寄せ付けない鉄壁として航空ファンや旅行マニア、マイレージオタクを寄せ付けてきた。

逆に、たま〜にしか使わない利用者にとっては、使い道のない割とどうでも良い物になっていった。

毎年、秋頃になると、次年のマイレージプログラム規約改定が話題になり、年末や年始のキャンペーンにいろめき立つ、という日々が続いていた。

 しかし、ここ数年、にわかに事情が変わってきた。

マイレージが使いやすくなってきたのだ。

“目的地さえ選ばなければ”少ないマイルで飛行機に乗れたり、航空会社のネットモールで1マイルから利用できたり、そのほか、以前よりもマイルを使いやすくなってきた。

航空会社が顧客満足を上げるために条件を変更したのか?

相次ぐ規約改悪の”罪滅ぼし”なのか?

諸説はあるが、私は会計制度の変更にあると考えている。

上場企業では2021年に会計処理方法を、国際会計基準IFRS)へ移行させる必要が生じている。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00262/00002/

https://www.ifrs.ne.jp/news/rensai_vol09.php

この分野にはあまり明るくないので、詳細は割愛するが、要するにマイレージ国際会計基準に照らして適正に”負債”計上しなければならなくなる、のだ。

ものすごく平たくいうと、今まで通りにマイレージを発行し、利用されずに残していると、何もしていないのに「借金」が増える、ということになる。

これに慌てたかどうかは知らないが、日本の航空会社は、マイレージの利用条件を相次いで緩和した。

そして、マイレージの積算率を変更した。

カードのみの上級会員(JGCSFC)や格安航空券あたりが、この波を大きく受けた。

つまり、航空会社はマイレージ

販促手段(なるべく使わないように)→効果的なプロモーション(利用)→楽しい飛行機旅の演出(消費)→半端なマイルは使い切れ、余計にマイルはやらないよ(消化)へとシフトしていった。

そんな国内航空会社の動向を察知してか、国内のマイルファンは海外の航空会社へとマイレージの貯め先を移していった。

まるで高課税を逃れタックスヘブンへ駆ける富豪のように。

そんなこんなで、ここ数年、ブリティッシュエアウェイズやユナイテッドエアライン、果てはアラスカ航空まで国際色豊かな旅客が国内線を利用するようになった。

インバウンド政策の効果か?いや、国内航空会社の日和見で行き当たりばったりなマイレージ政策の失敗が原因だ。

それを証拠に、ハワイアン航空カタール航空シンガポール航空との共同運航でも、客室内はほぼ日本人しかいない。(私が乗るローカル路線では)

これでは、旅行のためのマイルなのか、マイルのための旅行なのかさっぱりわからない。

マイルのための旅行を全否定するつもりはない、

しかし、程々にしておかないと、

健康(手段)のためなら死ん(目的)でも良い。

になりかねない。

経営が傾いている今日においてマイレージプログラムは、航空会社にとっては間違えなく負債だ。

ユーザ側にとっては、次の旅のための貯金なのか、返済(達成)しなければならない借金なのか。

しばらく、高マイレージが得られる国際線に乗れそうもないのでのんびり考えようと思う。