しかし、ドアクローズ後のドアモードクロスチェックあたりから、
不穏な雲行きとなってきた。
納豆3個パック(1個は欠けて2個になっていた)が、
座席のアミアミに刺さっていた。
彼はこれから何を始めるのかと思い、
ドリンクサービスをいつものビールではなく、
ジントニックを選択しそれを片手にじっーと様子を伺っていた。
やがて、機内食が配られた。
僕はてっきり納豆をご飯の上にかかるのかと思いドキドキみていた。
が、彼は機内食はノーマルで平らげて
納豆を単体で食べ始めたのだ。
ひとつ目を食べ終わりドリンクを流し込み、
ふたつ目にかかった。
そこで、僕は注意したくなった。
しかし、ジントニック3杯目の身としては、機内でトラブルになるわけにもいかず、
到着後、すごすごと降機する決心をした。
入国カードを書く際にパスポートを見たが、彼のパスポートには菊の紋章がない。
日本人ではなさそうだ。
注意しなかったことが正しかったと思った。
4杯目のジントニックを飲み干したところで僕と彼と納豆の臭気を載せた日本航空機は台北松山空港に着いた。
「君、納豆は3.4回混ぜてからタレをかけるのだよ。」
あー、言いたかった。